首里織はなぜ「沖縄織物の総本山」と呼ばれるのか、王府の御絵図帳に残る絣と生産額の現在

首里王府の御用布の図案を集めた「御絵図帳」。そこに描かれた数々の絣は、沖縄の伝統織物の基本とされる。1429年の三山統一から明治まで王都として栄えた首里では、海外の技法を吸収して、多様な織物の文化が築かれた。首里城を擁する観光地にありながら、その強みはまだ生かしきれていないと沖縄県は指摘している。
3行でわかる
- 首里織は、首里絣、首里花織、道屯織、花倉織、首里ミンサーを総称したもので、1983年に伝統的工芸品に指定された。
- 王都首里では、中国など海外の技法を取り入れて独特の織物文化が築かれ、王府の「御絵図帳」の絣は沖縄織物の基本とされる。
- 生産額は1982年ごろの2億円から2019年度は3,800万円に。2022年に首里城周辺に拠点施設が開館し、観光との連携が期待されている。
01この工芸は何か(技術の正体)
首里織は、首里で生まれた多様な織物の総称で、絣、花織、道屯織、花倉織などを含む。
首里の織物は、芭蕉糸、絹糸、木綿糸などを、福木、車輪梅、楊梅、琉球藍などの植物染料や化学染料で染めて作られる。王朝風の洗練されたデザインと、手織りの暖かい肌ざわりで珍重されている[1]。
1983年に、首里絣、首里花織、道屯織、花倉織、首里ミンサーを総括した「首里織」が伝統的工芸品に指定された[1]。
02産地とその歴史
1429年の三山統一から明治まで王都として栄えた首里では、海外の技法を取り入れて独特の織物文化が生まれた。
1429年の尚巴志による三山統一以来、明治に至るまで琉球王朝の首都として栄えた首里では、中国など海外の技法を吸収・消化して、絣・花織・道屯織・花倉織など首里独特の織物文化が築かれた[1]。
特に、首里王府への御用布の図案を集めた「御絵図帳」に見られる絣の数々は、沖縄伝統織物の基本とされる。沖縄戦で壊滅的な打撃を受けたが、戦後再興された[1]。
03技術を、生活の言葉で
生産額は1982年ごろに2億円に達した後、増減を繰り返し、2019年度は3,800万円となっている。
沖縄県「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」[1]
首里織の生産額は1982年ごろに2億円に達した後、増減を繰り返し、2019年度は3,800万円。従事者数は2009年度から80人前後で推移し、2017年度は63人となっている。若々しい色調の着尺や帯を中心に、タペストリーやショールなどの小物の製品開発が活発とされる。
補足: 首里織は一種類の織物ではない。絣、花織、道屯織、花倉織、ミンサーなど複数の技法を総称した名前である。
04後継者問題とテクノロジーとの交差点
個別の取引が多く、産地全体の認知度はまだ十分でない。首里城周辺の新しい拠点施設で、観光との相乗効果が期待されている。
観光地の強みを生かす
沖縄県は、首里城を擁する観光地域に拠点を持ちながら、その優位性が生かされていないと指摘し、首里織の直売店施設の整備や商品群の開発、販路開拓を検討する必要があるとしている。
首里染織館suikara
2022年、首里城周辺に首里織と琉球びんがたの拠点施設「首里染織館suikara」がグランドオープンした。首里地域の活性化と、工芸と観光産業の相乗効果が期待されている。
王朝の都の織物という物語を、訪れる人に直接伝えられるかどうか。首里織は、観光地の中にある工芸として、販路と認知の両方を立て直そうとしている。
05関連する工芸
同じ首里を拠点とする琉球びんがたと比べると、王府の工芸が戦後どう復興したかが見えてくる。
06よくある質問
首里織とは何ですか
首里絣、首里花織、道屯織、花倉織、首里ミンサーを総称した織物です。1983年に伝統的工芸品に指定されました。
御絵図帳とは何ですか
首里王府への御用布の図案を集めたものです。そこに見られる絣の数々は、沖縄伝統織物の基本とされています。
首里織の生産額はどれくらいですか
沖縄県によると、1982年ごろに2億円に達した後、増減を繰り返し、2019年度は3,800万円でした。
出典
- 沖縄県 商工労働部ものづくり振興課. 「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」. https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/630/r4_zentaiban.pdf
- 沖縄県. 「第10次沖縄県伝統工芸産業振興計画(素案)」. https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/770/soann.pdf
- 沖縄県. 「第8次沖縄県伝統工芸産業振興計画」(2017年3月). https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/629/daihatijishinkei.pdf