染織

宮古上布はなぜ「東の越後、西の宮古」と呼ばれたのか、苧麻の手績み糸が足りない高級麻織物

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青苧(からむし)の繊維。古くより上杉氏の領国の財政を支えた産物である。(米沢市立上杉博物館)
Photo: 掬茶 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開資料をAIが調べて整理しました(特定の工房・商品の宣伝ではありません。出典は末尾)。

「東の越後、西の宮古上布」。戦前から、新潟の越後上布と並ぶ夏の高級麻織物として知られてきたのが、沖縄・宮古島の宮古上布である。1反を織るのに約2か月。しかし今、原料となる苧麻の手績み糸が足りず、需要があっても生産できない状況にある。

3行でわかる

  1. 宮古上布は、苧麻(ちょま)の手績み糸を琉球藍で染め、細かな十字絣で模様を織り出す麻織物で、1反を織るのに約2か月かかる。
  2. 1583年に創製されたといわれ、1610年からは人頭税の下で貢納布として織られた。1974年度に伝統的工芸品に指定された。
  3. 生産額は1975年ごろの2億円から大きく減り、2019年度は4千万円台。手績み糸の不足が生産の最大の壁になっている。

01この工芸は何か(技術の正体)

宮古上布は、苧麻という植物の繊維を手で績んだ糸を、琉球藍で染めて織り上げる、宮古島の高級麻織物である。

苧麻の手績み糸を原料に、発酵させて作る琉球藍で染めて織り上げる。1反を織り上げるのに約2か月を要する[1]。

絣模様は手括りや織締めの技法で作り、細かな十字絣で絵柄を構成する。戦前から越後・能登・近江の上布とともに四大上布の一つとされ、特に「東の越後、西の宮古上布」と並び称されてきた[1]。

02産地とその歴史

1583年に創製されたといわれ、1610年からは人頭税の下で、税として納める布として厳しい監督のもとで織られた。

宮古上布は1583年、稲石刀自によって創製されたといわれる。1610年には人頭税の下で貢納布となり、1903年に人頭税が廃止されるまで、厳しい監督のもとで生産が続いた[1]。

自由な製造販売が許されると、1923年ごろには製品としての地位が確立し、17,000反前後が生産された。しかし戦後の社会の変化で、規模・生産量ともに戦前の数%程度になった[1]。

03技術を、生活の言葉で

生産額は1975年ごろに2億円に達した後、大きく増減を繰り返し、2019年度は4千万円台となっている。

沖縄県「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」[1]

宮古上布の生産額は1975年ごろ2億円に達した後、1998年には1,800万円まで落ち込んだ。その後回復して2005年度には1億円を超えたが、2007年度からの織物業界の不況などで再び減少し、2019年度は4千万円台。1人当たりの年間生産額は120万円程度で、従事者数は30人程度で推移している。

補足: 宮古上布の生産が少ないのは、需要が無いからではない。沖縄県は、績み手の高齢化で原材料の苧麻糸が不足し、需要があっても生産できないとしている。

04後継者問題とテクノロジーとの交差点

糸を績む人を確保するため、奨励金制度が設けられた。産地は上布以外の商品を作りながら、糸が手に入ったときに上布を織れる技術を保とうとしている。

1

手績み糸への奨励金

「宮古苧麻績み保存会」の活動が軌道に乗りつつあり、宮古島市と連携して「苧麻手紡糸奨励金制度」を設け、手績みの担い手の確保を図っている。ただし、しばらくは糸不足が続くと見られている。

2

上布以外の商品と直販

第10次振興計画の素案によると、宮古上布、宮古苧麻織、宮古麻織、宮古織の4種類の商品を展開し、近年は宮古麻織に軸足を移している。苧麻糸が手に入らない時期も上布以外の商品で生産を続け、糸が入手できた際に安定した技術で上布を織れるよう備えている。これまでの企業間取引に加え、一般の消費者への直売も増やしている。

地味で十分な対価が得られない糸績みの仕事に、どう担い手を呼び込むか。宮古上布の将来は、織りの技術以上に、糸を績む人の確保にかかっている。

05関連する工芸

同じく原料の手績み糸の不足に悩む芭蕉布と比べると、沖縄の織物に共通する課題が見えてくる。

06よくある質問

宮古上布とは何ですか

苧麻の手績み糸を琉球藍で染め、細かな十字絣で模様を織り出す宮古島の麻織物です。越後上布と並ぶ夏の高級紺上布とされます。

「東の越後、西の宮古上布」とはどういう意味ですか

新潟の越後上布と宮古上布が、夏物の着尺を代表する高級上布として並び称されてきたことを表す言葉です。

宮古上布はなぜ生産が少ないのですか

原料の苧麻を手で績む人が高齢化し、糸が不足しているためです。需要があっても生産できない状況にあるとされています。

出典

  1. 沖縄県 商工労働部ものづくり振興課. 「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」. https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/630/r4_zentaiban.pdf
  2. 沖縄県. 「第10次沖縄県伝統工芸産業振興計画(素案)」. https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/770/soann.pdf
  3. 沖縄県. 「第7次沖縄県伝統工芸産業振興計画」(2012年3月). https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/629/7th-traditionalcraftpromotionplan.pdf