金沢箔はなぜ国内の金箔の99%を占めるのか、1万分の1ミリの技とパリでの販路開拓

金を、1万分の1ミリ以下の薄さにまで均一に打ち延ばす。金沢市で作られる金箔は、国内の生産量の99%以上を占めている。仏壇や漆器を彩る材料として使われてきた金箔は今、食用やアクセサリーなど身近な製品となり、パリの展示会でも売れている。
3行でわかる
- 金沢箔は、金を1万分の1ミリ以下の厚さまで均一に打ち延ばす技術を持ち、国内の金箔生産の99%以上を占める。
- 石川県の統計では、2024年度は75社・592人で約22.8億円を生産し、2022年度の約16.4億円から増えている。
- 金沢市は2020年、パリの展示会に金沢箔で初出展し、出展した4社すべてが販売実績をあげた。
01この工芸は何か(技術の正体)
金沢箔は、金や銀を極めて薄く打ち延ばして作る箔で、仏壇や漆器、建築の装飾などに使われる工芸材料である。
金の地金を1万分の4ミリ以下の厚さまで均一に広げる技術は他の追随を許さず、全国生産の99%以上を占めるとされる[1]。
金箔は仏壇や漆器を彩る工芸材料として、石川の工芸文化に欠かせない存在である[2]。金閣寺や日光東照宮といった世界遺産の修復にも使われている[3]。
02産地とその歴史
金沢での金箔づくりは400年以上の歴史を持つ。箔の製造に適した湿度・温度・水質に恵まれた北陸の気候が、その発展を支えてきた。
石川県によると、箔の製造に適した湿度と温度、水質に恵まれた北陸の気候風土と、そこで育まれた職人の技術が、金箔の発展を支えてきた[2]。
金沢の箔づくりは400年以上の歴史を持つ[2][3]。日本の金箔は装飾だけでなく、木造の建物や仏像の防虫の役割もあるため、フランスの箔よりも薄く作られていると職人は説明している[3]。
03技術を、生活の言葉で
石川県の統計では、金沢箔の生産額は2022年度の約16.4億円から2024年度の約22.8億円へと増えている。
石川県統計書「伝統的工芸品一覧」[1]
金沢箔の企業数・従業者数・生産額は、2022年度が82社・614人・16億4,400万円、2023年度が81社・610人・18億5,300万円、2024年度が75社・592人・22億7,500万円だった。企業数と従業者数は減る一方、生産額は増えている。
補足: 生産額の増加は、担い手が増えたことを意味しない。同じ期間に企業数は82社から75社に、従業者数は614人から592人に減っている。
04後継者問題とテクノロジーとの交差点
金箔は土産物や日用品として人気が高まり、新製品の開発が続く。金沢市は海外でのテストマーケティングにも取り組んでいる。
日用品への広がり
石川県は2019年の企画展の案内で、身近に金の輝きを楽しめるさまざまな金箔製品が土産物や日用品として近年大変人気があり、意欲的な新製品が次々と開発されていると紹介している。
パリでのテストマーケティング
自治体国際化協会パリ事務所の報告によると、金沢市は2020年1〜2月、パリ日本文化会館での「伝統と先端と」展に初めて出展した。食用金箔を包んだ折り鶴や金箔のアクセサリーなどを展示し、職人が実演を行った結果、出展した事業者4社すべてが販売実績をあげた。
国内シェア99%という強みを持ちながら、担い手の数は減り続けている。金沢箔は、日用品化と海外展開で需要を広げつつ、技術を受け継ぐ人をどう確保するかが問われている。
05関連する工芸
同じ石川県の工芸として、金箔を使う漆器の産地と比べると、材料と製品の関係が見えてくる。
06よくある質問
金沢箔の国内シェアはどれくらいですか
石川県によると、国内の金箔生産の99%以上を金沢が占めています。
金沢箔はどれくらい薄いのですか
金の地金を1万分の4ミリ以下の厚さまで均一に広げる技術があるとされています。職人の実演では、1万分の1ミリの箔も扱われています。
なぜ金沢で金箔づくりが発展したのですか
箔の製造に適した湿度と温度、水質に恵まれた北陸の気候風土と、そこで育まれた職人の技術が理由とされています。
出典
- 石川県. 石川県統計書「伝統的工芸品一覧」(令和7年版). https://toukei.pref.ishikawa.lg.jp/dl/5303/R7j_32.pdf
- 石川県. 「石川県立伝統産業工芸館企画展 GOLD 取材のお願い」(2019年5月22日). https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kisya/h31/documents/0522keishi2.pdf
- 自治体国際化協会. 「パリで輝く金沢箔の魅力!」自治体国際化フォーラム Vol.370 (2020年8月). https://clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_370/05_genba.pdf