和紙・その他工芸

本美濃紙はなぜ世界の美術館で使われるのか、3,700軒が20軒未満になった紙漉きと簀を作る最後の1人

約3分で読めます

ヒメコウゾの葉と果実(茨城県八溝山にて)
Photo: 小石川人晃 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開資料をAIが調べて整理しました(特定の工房・商品の宣伝ではありません。出典は末尾)。

20世紀初め、美濃地方には3,700軒を超える紙漉きの工房があった。今は20軒に満たず、最高級の「本美濃紙」を漉くのはそのうち6軒だけだ。紙を漉くための竹の簀(す)を作れる職人は、地域に1人しかいない。それでも本美濃紙は、世界中の美術館で作品の修復に使われ続けている。

3行でわかる

  1. 本美濃紙は、美濃地方で作られる最高級の和紙で、軽く半透明で、年月を経ても劣化や黄変がしにくい。2014年にユネスコ無形文化遺産に登録された。
  2. 美濃では、前後に加えて左右にも揺すって繊維を絡ませる漉き方で、破れにくい紙を作る。
  3. 工房は20世紀初めの3,700軒超から20軒未満に減り、本美濃紙を漉くのは6軒。簀を作れる職人は地域に1人しかいない。

01この工芸は何か(技術の正体)

本美濃紙は、楮(こうぞ)の繊維だけを使って手で漉く、美濃地方の最高級の和紙である。

本美濃紙は軽く半透明で、繊細な光沢を持つ。年月を経ても劣化や黄変がしにくく、何世代にもわたって強さと美しさを保つ[1]。

原料は楮の内皮の白い繊維で、茨城県の大子産のものが使われる。繊維を水中に均一に散らすため、トロロアオイの根から取る粘液「ネベシ(ネリ)」を加える[1]。

02産地とその歴史

美濃では少なくとも8世紀から和紙が作られてきた。写経用から障子や提灯の紙となり、今は美術館の修復に使われている。

美濃地方では少なくとも8世紀から和紙が作られてきた。美濃の和紙は最初は寺の写経に使われ、のちに高級な障子や提灯の標準になった[1]。

21世紀には、きめの細かさと丈夫さから、世界の美術館で美術品の保存修復に使われている。製法と材料は何世紀もほとんど変わっておらず、2014年にユネスコの無形文化遺産に登録された[1]。

03技術を、生活の言葉で

美濃の紙漉きは、縦だけでなく横にも揺することで、破れにくい紙を生み出す。

観光庁の多言語解説文(美濃和紙の漉き方)[2]

和紙は「流し漉き」という技法で作られる。まず少量の紙料をすくってすぐに捨てる「化粧水」で表面を作り、次に多めの紙料をすくって揺らす「縦揺り」「横揺り」で繊維を絡ませる。多くの産地では揺らす方向が体の前後だけだが、美濃の紙漉きは左右にも揺らし、より破れにくい紙を作る。最後に「払い水」で表面を整える。

補足: 和紙はどこで作っても同じではない。美濃の紙は、揺らし方のわずかな違いで丈夫さを高めている。

04後継者問題とテクノロジーとの交差点

機械化と需要の減少で工房は激減し、紙を漉く道具を作る職人も減っている。産地は保存会の設立と弟子の受け入れで技をつないでいる。

1

工房の激減

戦後、障子などの和紙の需要が減る一方、機械化で質の高い紙が安く作れるようになった。20世紀初めに3,700軒を超えた美濃の和紙の工房は20軒未満になり、本美濃紙を漉くのは6軒となった。

2

道具の担い手と継承

本美濃紙は手作りの道具だけで作られるが、道具の作り手は減っている。約3,000本の竹ひごを絹糸で編む簀を作れる職人は地域に1人で、1枚作るのに1週間ほどかかる。紙漉きの技は家族で受け継ぐのが普通だったが、今は弟子を受け入れて技を守っている。2018年には、閉校した小学校を使った美濃和紙用具ミュージアムふくべが開館した。

工房が残っても、簀などの道具が作れなくなれば紙は漉けない。本美濃紙の継承は、紙漉き職人だけでなく、道具を作る職人をどう残すかにかかっている。

05関連する工芸

同じ和紙の産地として、ユネスコ登録で用途を広げた越前和紙と比べると、和紙の産地の戦略の違いが見えてくる。

06よくある質問

本美濃紙の特徴は何ですか

軽く半透明で、繊細な光沢を持ち、年月を経ても劣化や黄変がしにくいことです。世界の美術館で修復に使われています。

美濃和紙の漉き方は何が違うのですか

多くの産地は前後に揺らして繊維を絡ませますが、美濃では左右にも揺らすため、より破れにくい紙になるとされます。

本美濃紙を作る工房はいくつありますか

美濃の和紙の工房は20軒未満で、そのうち本美濃紙を漉くのは6軒です。

出典

  1. 観光庁. 地域観光資源の多言語解説文データベース「本美濃紙 / 本美濃紙についての概要」. https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R4-00245.html
  2. 観光庁. 地域観光資源の多言語解説文データベース「本美濃紙 / 紙ができるまで」. https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R4-00248.html
  3. 観光庁. 地域観光資源の多言語解説文データベース「本美濃紙 / 美濃和紙用具ミュージアムふくべ」. https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R4-00251.html