陶磁器

九谷焼はなぜ「知名度なのに40億円」なのか、通販が年商8割を占める窯元が変えたもの

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Plate white body with hand painted and transfer decorated blossom and bird pattern. Gold rim with blue and white flowers against black and g
Photo: Kutani, Ko (old) / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査産地組合・自治体・研究機関・報道機関の公開資料をAI(Claude)が調べ、内容を確認して整理しました。特定の工房・商品を宣伝するものではありません。出典は末尾にあります。

赤・黄・緑・紫・紺青の五彩で知られる九谷焼だが、石川県の統計による年間の生産額は約40億円にとどまる。同じ石川県の伝統的工芸品である加賀友禅の6.6億円に比べれば大きいものの、日本の即席麺市場(約6,000億円)の150分の1に満たない規模だ。全国区の知名度と、産地としての実際の売上規模には大きな差がある。

3行でわかる

  1. 九谷焼の生産額は約40億円(令和3年度・石川県統計)で、知名度に比べると産地の規模は小さい。
  2. 石川県立九谷焼技術研修所は開所以来750名以上の卒業生を輩出し、未経験からでも学べる後継者育成の場になっている。
  3. 通販専業に近い窯元は年商の8割をネット販売が占め、作家情報を前面に出すことで若い作家の発掘にもつながっている。

01この工芸は何か(技術の正体)

九谷焼は、緑・黄・赤・紫・紺青の5色の和絵具で描く「五彩」の上絵付けを特徴とする磁器である。

まず「呉須(ごす)」と呼ばれる黒褐色の絵具で輪郭線を描く「骨描き(こつがき)」を行い、そのうえに五彩を厚く盛り上げるように彩色していく。この盛り上がった絵具の質感と、大胆な構図が九谷焼らしさとされる。赤をほとんど使わず青系の色だけで画面を塗り埋める「青手」と呼ばれる様式もある。焼成前の素地に絵付けする染付などとは異なり、一度焼いた白磁の上にさらに絵具で絵を焼き付ける「上絵付け」の技法である点が特徴だ。

02産地とその歴史

起源は江戸前期の1655年ごろ、加賀藩の支藩・大聖寺藩が始めた殖産政策にさかのぼる。一度廃絶し、150年近くを経て再興された歴史を持つ。

大聖寺藩領の九谷村(現・石川県加賀市)で陶石が発見されたのを機に、藩士の後藤才次郎が肥前有田(現・佐賀県)へ製陶技術を学びに送られ、帰藩後の1655年ごろに窯が開かれたとされる。この時期に焼かれたものは「古九谷」と呼ばれるが、1700年代初頭に窯は突然閉じられた。廃窯の理由は今も判然としていないという。その後、1800年ごろに各地で窯が再興され(「再興九谷」)、現在に続く。現在の主な産地は石川県能美市で、加賀市・小松市・金沢市でも製造が続けられている。

03技術を、生活の言葉で

九谷焼は全国的に名前が知られている一方、産地としての生産規模は他の伝統的工芸品と比べても大きくない。

株式会社産業強靱化総研の分析(石川県統計をもとに算出、令和3年度)[2]

九谷焼の年間生産額は約40億円で、同じ石川県の伝統的工芸品である加賀友禅の約6.6億円を上回るが、日本の即席麺市場(約6,000億円)の約150分の1にすぎない規模だ。

補足: 「世界的にも有名」とされる知名度に対し、産業としての規模とのギャップが大きいことが指摘されている。

1つの器が完成するまでには、成形・素焼き・下絵付け(染付が加わる場合)・本焼き・上絵付け・上絵の焼き付けと、複数の工程を専門の職人や窯元がそれぞれ担う。分業や個人作家としての制作が中心のため、量産品のように一気に生産量を増やすことが難しい構造も、生産額が伸び悩む背景の一つにある。

04後継者問題とテクノロジーとの交差点

産地は、公的な研修制度による人材育成と、通販・SNSを軸にした販路開拓という2つの方向から、規模の小ささを補おうとしている。

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石川県立九谷焼技術研修所による育成

能美市にある同研修所は、2年制の本科(定員15名)、1年制の研究科(定員15名)、1年制の実習科(定員30名)を設け、開所以来750名以上の卒業生を輩出している。未経験からでも基礎から学べるカリキュラムを整え、窯元・問屋への就職や作家としての独立など、卒業後の進路は多様だという。

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通販専業に近い窯元の台頭

石川県産業創出支援機構(ISICO)の取材によれば、ある九谷焼の窯元はネット通販による年商が約5,500万円に達し、会社全体の売上の8割を占める。楽天市場やYahoo!ショッピングなど複数のプラットフォームに出店し、商品1点につき3〜4点の高品質な写真を掲載、作家情報や商品の背景ストーリーを添えて紹介している。登録者5万5千人のメールマガジンで顧客をセグメント化し、市場のニーズを窯元へのデザイン提案に反映させる取り組みも行っている。

技術のある若手作家をサイト上で紹介する仕組みは、従来は個々の窯元・問屋を介さないと知られにくかった作り手の情報を、消費者が直接目にできるようにする効果を持つ。ただし、こうした通販中心のモデルはあくまで一部の事業者の取り組みであり、産地全体に広がっているわけではない。

05関連する工芸

同じ石川県の伝統的工芸品として、分業制と後継者問題という共通の課題を抱える輪島塗と合わせて読むと理解が深まる。

06よくある質問

九谷焼の生産額はどれくらいですか

石川県の統計では令和3年度(2021年度)の生産額は約40億円で、県内の伝統的工芸品の中では山中漆器に次ぐ規模です。全国的な知名度の高さに比べると、産地としての生産規模は決して大きくありません。

九谷焼の「五彩」とは何ですか

緑・黄・赤・紫・紺青の5色の和絵具を使う上絵付けの技法です。呉須という黒褐色の絵具で輪郭を描く「骨描き」をしたあと、五彩を厚く盛り上げるように彩色します。赤を使わず青系だけで塗り埋める「青手」という様式もあります。

九谷焼の後継者育成はどう行われていますか

石川県能美市にある石川県立九谷焼技術研修所が、2年制の本科(定員15名)、1年制の研究科(定員15名)、1年制の実習科(定員30名)を設け、開所以来750名以上の卒業生を輩出しています。未経験からでも基礎から学べるカリキュラムが特徴です。

出典

  1. 石川県九谷陶磁器商工業協同組合連合会. 「九谷焼について」. https://www.kutaniyaki.or.jp/about_kutani/about_kutani.html
  2. 株式会社産業強靱化総研 -IRII- 広報室. 「九谷焼40億円、加賀友禅6.6億円~知名度と現実のギャップに挑戦する人たち」. note. https://note.com/irii_japan/n/n42c528e508ef
  3. 公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO). 「ネット販売で反転攻勢 作家の発掘など、九谷焼をプロデュース」情報誌ISICO. https://www.isico.or.jp/i-maga/journal/i110606.html
  4. 石川県. 「未経験から九谷焼のプロへ。-石川県立九谷焼技術研修所 2026年度研修生募集-」. PR TIMES. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000127255.html