漆器

山中漆器はなぜ生産額日本一の漆器産地なのか、木地の技と「近代漆器」が7割を占める構造

約3分で読めます

Sinan Shipwreck Gallery, National Museum of Korea, Seoul. Complete indexed photo collection at WorldHistoryPics.com.
Photo: Gary Todd from Xinzheng, China / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開資料をAIが調べて整理しました(特定の工房・商品の宣伝ではありません。出典は末尾)。

石川県加賀市の山中温泉で作られる山中漆器の生産額は、2024年度で約98億円。同じ石川県の輪島塗の約14億円を大きく上回る。山中は「生産額日本一の漆器産地」とされるが、その中身を見ると、木の器だけではない。樹脂を素地にした「近代漆器」が、生産のおよそ7割を占めているという。

3行でわかる

  1. 山中漆器はろくろで木を挽く「木地挽き」の技術で知られ、2024年度は約250社・約1,200人で約98億円を生産した。
  2. 天正年間に山中温泉の上流にろくろ挽きの技術が伝わったのが始まりで、木地師として初めて人間国宝に認定された職人も生んだ。
  3. 現在は樹脂などを素地にした近代漆器と木製漆器の割合がおよそ7対3で、近代漆器を手がける企業は北米向けのEC販売にも取り組んでいる。

01この工芸は何か(技術の正体)

山中漆器は、ろくろを使って木を回転させながら削る「挽物(ひきもの)」の技術を特色とする、石川県加賀市山中温泉の漆器である。

山中漆器はろくろを使った挽物技術が特色で、その手法は数十種に及ぶ。豪華な高蒔絵(たかまきえ)を施した茶道具、とくに抹茶を入れる棗(なつめ)の制作に定評がある[1]。

山中では、木を縦方向に取る「縦木取り」という方法で器を挽く。これにより、器が反りにくく丈夫になるとされる[2]。山中は、器の素地をつくる職人の技から「木地の山中」と呼ばれる[2]。

02産地とその歴史

16世紀末の天正年間に、山中温泉の上流にろくろ挽きの技術が伝わり、温泉客を相手にした木地挽きから漆器産地へと発展した。

天正年間(1573〜1592年)、山中温泉の上流に「轆轤挽き物」が伝わったことが山中漆器の始まりとされる[2]。

木地師の川北良造は、木地師として初めて人間国宝に認定された[2]。素地をつくる技術そのものが、産地を代表する技として評価されてきた。

03技術を、生活の言葉で

山中漆器の生産額は2024年度で約98億円。同じ石川県の輪島塗を大きく上回る規模を持つ。

石川県統計書「伝統的工芸品一覧」[1]

山中漆器の企業数・従業者数・生産額は、2022年度が259社・1,250人・106億円、2023年度が249社・1,200人・102億円、2024年度が250社・1,200人・98億円だった。同じ資料で輪島塗の2024年度の生産額は14億円となっている。

補足: 「生産額日本一」は、木製の手仕事の器だけで達成した数字ではない。後述のように、樹脂素地の近代漆器が大きな割合を占めている。

04後継者問題とテクノロジーとの交差点

山中では、樹脂を素地にした近代漆器が生産の約7割を占める。近代漆器を手がける企業は、海外向けのEC販売にも取り組んでいる。

1

近代漆器が7割を占める構造

金沢大学の調査報告(2008年)によると、山中漆器は近代漆器と木製漆器の割合がおよそ7対3である。近代漆器には、ベークライトと呼ばれるプラスチック製品のほか、輸入品や輸入材を使ったものが2割ほど含まれる。輸入品は、山中の職人が現地で技術指導を行っているため山中漆器と呼ばれている。

2

北米へのEC販売

1809年創業の北市漆器店は、樹脂を素地にした近代漆器を手がける。日本貿易振興機構(JETRO)によると、同社は2023年度、米国とカナダのバイヤー2社から引き合いを受け、重箱や弁当箱など3商品の成約につなげた。各国のECサイトでの販売も続いている。

木地の技で名を上げた産地が、樹脂という新しい素材で量産と海外展開を担う。山中漆器は、伝統の技術と工業的な生産が一つの産地の中で同居している例といえる。

05関連する工芸

同じ石川県の漆器産地である輪島塗と比べると、技術の継承と産業規模のあり方の違いが見えてくる。

06よくある質問

山中漆器の生産額はどれくらいですか

石川県の統計によると、2024年度は約250社・約1,200人で約98億円でした。同じ年度の輪島塗の約14億円を大きく上回ります。

山中漆器の特徴は何ですか

ろくろで木を挽く挽物の技術が特色で、その手法は数十種に及びます。木を縦方向に取る縦木取りで、反りにくく丈夫な器を作ります。

近代漆器とは何ですか

木ではなく樹脂などを素地にした漆器のことです。金沢大学の調査報告では、山中漆器の近代漆器と木製漆器の割合はおよそ7対3とされています。

出典

  1. 石川県. 石川県統計書「伝統的工芸品一覧」(令和7年版). https://toukei.pref.ishikawa.lg.jp/dl/5303/R7j_32.pdf
  2. ニッポン旅マガジン. 「山中うるし座(山中漆器伝統産業会館)」. https://tabi-mag.jp/is0227/
  3. 藤井綾. 「伝統産業としての山中漆器」金沢大学 (2008). https://kanazawa-u.repo.nii.ac.jp/record/6817/files/AA12079036-2008-3.pdf
  4. 日本貿易振興機構(JETRO). 「株式会社北市漆器店」事例紹介 (2024年8月). https://www.jetro.go.jp/case_study/2024/kitaichi.html