読谷山花織はなぜ一度途絶え、1960年代に復興したのか、主婦層が支える1人36万円の産地

沖縄県読谷村で織られる読谷山花織は、15世紀初め、南方貿易の拠点だった長浜に東南アジアから伝わったといわれる。王府の御用布として守られたが、明治の中ごろに衰退し、1961年ごろから再興の機運が高まった。今は約70人が織り手として産地を支えるが、その多くは家庭の主婦層である。
3行でわかる
- 読谷山花織は、幾何学模様を色糸で浮かせ、その中に絣模様をあしらう紋織物で、1976年に伝統的工芸品に指定された。
- 15世紀初めに東南アジアから伝わったといわれ、王府の御用布として保護されたが、明治の中ごろに衰退し、1961年ごろから復興が進んだ。
- 従事者は70人程度で推移し、主に家庭の主婦層が担う。2017年度の1人当たり生産額は36万円で、専業化が課題とされる。
01この工芸は何か(技術の正体)
読谷山花織は、色糸で幾何学模様を浮かせて織り出す「花織」の一種で、着物や帯、手ぬぐいなどに使われる。読谷山ミンサーは、紋糸を手ですくって織り込む細帯である。
花織は紋織の一種で、幾何学模様を色糸で浮かせ、その中に絣模様をあしらう。糸は木綿や絹を使い、藍、福木、テカチ(車輪梅)、グール(サルトリイバラ)などの天然染料で主に染める[1]。
読谷山ミンサーは、紋糸を手ですくって織り込む技法による、木綿の細帯である[1]。
02産地とその歴史
15世紀初め、南方貿易の拠点だった読谷村長浜に東南アジアから伝わったといわれ、のちに王府の御用布として保護された。
読谷山花織は、15世紀初期に南方貿易の根拠地として栄えた読谷村長浜に東南アジアから伝来したといわれ、のちに琉球王府の御用布として手厚い保護のもとで継続された[1]。
明治の中ごろには衰退したが、1961年ごろから再興の機運が高まり、1973年から本格的な生産が始まった。1975年に県の無形文化財、1976年に伝統的工芸品に指定された[1]。
03技術を、生活の言葉で
従事者は70人程度で推移しているが、1人当たりの生産額は低く、多くを家庭の主婦層が担っている。
沖縄県「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」[1]
読谷山花織・読谷山ミンサーの従事者数は70人程度で推移し、2017年度は72人。1人当たりの生産額は2017年度で36万円で、主に家庭の主婦層が従事している。産地全体の生産額は2,600万円。従事者の年齢構成は40代の女性が主で、30歳未満の割合が極端に少ない。
補足: 1人当たりの生産額が低いのは、技術が低いからではない。専業でなく家庭と両立しながら織る人が多いという、産地の働き方の構造による面が大きい。
04後継者問題とテクノロジーとの交差点
産地は専業化や若手の就業環境づくりに加え、地元ホテルとの連携で観光消費を取り込もうとしている。
専業化と若手の確保
沖縄県は、従事者の専業化に向けた取り組みで生産額の向上を図る必要があるとし、若者が従事できる就業環境の整備を課題に挙げている。2009年7月には地域ブランド「読谷山花織」の商標登録を受けた。
観光との連携
第10次振興計画の素案によると、生産額は増加傾向にあり、綿糸の色の種類を増やし新しいデザインも増えている。産地としての認知度が上がり、地元のホテルなどと連携しながら観光消費の取り込みにも取り組んでいる。
家庭と両立しながら織る働き方は、産地を支えてきた力であると同時に、生産量を増やしにくい要因でもある。読谷山花織は、技術の継承と働き方の両方の設計を問われている。
05関連する工芸
同じ沖縄の花織として、自家用に織られてきた知花花織と比べると、花織の多様さが見えてくる。
06よくある質問
読谷山花織とは何ですか
色糸で幾何学模様を浮かせ、その中に絣模様をあしらう紋織物です。沖縄県読谷村で織られ、1976年に伝統的工芸品に指定されました。
読谷山花織はどこから伝わったのですか
15世紀初めに、南方貿易の拠点だった読谷村長浜に東南アジアから伝わったといわれています。
読谷山花織の担い手はどれくらいいますか
沖縄県によると、従事者は70人程度で推移しており、2017年度は72人でした。主に家庭の主婦層が担っています。
出典
- 沖縄県 商工労働部ものづくり振興課. 「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」. https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/630/r4_zentaiban.pdf
- 沖縄県. 「第10次沖縄県伝統工芸産業振興計画(素案)」. https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/770/soann.pdf
- 沖縄県. 「第8次沖縄県伝統工芸産業振興計画」(2017年3月). https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/629/daihatijishinkei.pdf