三線はなぜ2018年に伝統的工芸品になったのか、黒檀が足りず海外産と競う沖縄の楽器づくり

三線は、14世紀に中国から三絃が伝わって以来、600年以上の歴史を持つ沖縄の楽器である。終戦直後には、あり合わせの材料で作った「カンカラ三線」が、戦争で傷ついた人々の心を癒やした。2018年に国の伝統的工芸品に指定されたが、棹に使う黒檀は稀少になり、海外産の安い三線との競争も続いている。
3行でわかる
- 三線は14世紀に中国から伝わった三絃が、琉球独自の楽器として発展したもので、2012年に県の、2018年に国の伝統的工芸品に指定された。
- 棹の材料は県内産が枯渇状態で、輸入材が主になっている。原材料の黒檀が稀少で生産数が増えず、単価が上がっている。
- 海外産の安い三線との差別化のため、組合はウェブを活用したPRに取り組み、大学や民間企業と連携して科学的根拠に基づく代替材の研究を進めている。
01この工芸は何か(技術の正体)
三線は沖縄独自の弦楽器で、伝統芸能とともに世界中に広まっている。
三線は600年以上の歴史を持ち、14世紀に中国から三絃が伝来して以来、名工たちの手で琉球独自の楽器として発展してきた[1]。
「三絃」の「サン・シェン」という発音が、沖縄では「シン」と発音され、「線」と表記されるようになったと考えられている[1]。
02産地とその歴史
17世紀には褒賞の贈り物にもなるほど貴重なものとされ、戦後は空き缶で作ったカンカラ三線が人々を支えた。
17世紀には、三線を極めて貴重なものとし、名誉の対価や褒賞の贈呈品として用いる考えが生まれた[1]。
海外への移民の多くが三線を持っていったほか、終戦直後にはあり合わせの材料で作られたカンカラ三線が、戦争で傷ついた県民の心身を癒やした[1]。2012年11月30日付で県の伝統工芸製品に、2018年11月には国の伝統的工芸品に指定された[1]。
03技術を、生活の言葉で
2019年度の生産額は9千万円台で、従事者は40人弱。小さな産地だが、生産額は増加傾向にあった。
沖縄県「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」[1]
2019年度の三線の生産額は9千万円台で、年々増加傾向にある。1人当たりの年間生産額は240万円強で、従事者数は40人弱となっている。原材料の棹材は県内産が枯渇状態にあり、現在は輸入材が主である。
補足: 三線の課題は需要だけではない。第10次振興計画の素案では、生産額・従事者数ともに減少傾向に転じ、原材料の黒檀が稀少で生産数が増えていないとされている。
04後継者問題とテクノロジーとの交差点
原材料の不足と海外産との競争に対し、組合はウェブを使ったPRと、大学・民間企業との代替材の研究に取り組んでいる。
ウェブを活用したPR
第8次振興計画(2017年)によると、海外産三線の輸入で低価格帯の県内シェアが奪われ、事業所の経営が圧迫されていた。県の事業を活用した宣伝やウェブなどITを活用したPRで、注文は増えたとされる。
科学的根拠に基づく代替材
第10次振興計画の素案によると、黒檀が稀少で三線の単価が上がるなか、大学や民間企業と連携し、科学的な根拠に基づいた代替材を研究している。胴に張る蛇皮についても、人工皮の品質改善が課題とされている。
楽器としての音を保ちながら、材料をどう置き換えるか。三線の代替材の研究は、伝統の音色を科学で支えようとする試みといえる。
05関連する工芸
同じく原材料の確保に悩む工芸として、天然秋田杉の供給が終わった大館曲げわっぱと比べると、素材の課題の共通点が見えてくる。
06よくある質問
三線はいつ伝統的工芸品に指定されましたか
2012年11月に沖縄県の伝統工芸製品に、2018年11月に国の伝統的工芸品に指定されました。
カンカラ三線とは何ですか
終戦直後に、あり合わせの材料で作られた三線です。戦争で傷ついた人々の心身を癒やしたとされています。
三線の材料の課題は何ですか
棹に使う黒檀などの材料は県内産が枯渇状態で、輸入材が主になっています。大学や企業と代替材の研究が進められています。
出典
- 沖縄県 商工労働部ものづくり振興課. 「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」. https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/630/r4_zentaiban.pdf
- 沖縄県. 「第10次沖縄県伝統工芸産業振興計画(素案)」. https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/770/soann.pdf
- 沖縄県. 「第8次沖縄県伝統工芸産業振興計画」(2017年3月). https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/629/daihatijishinkei.pdf