陶磁器

壺屋焼はなぜ「やちむんブーム」で生産が追いつかないのか、1682年に窯場を統合した産地の現在

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Tsuboya Pottery Museum, Naha, Okinawa prefecture, Japan
Photo: 663highland / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開資料をAIが調べて整理しました(特定の工房・商品の宣伝ではありません。出典は末尾)。

沖縄の工芸品の生産額のうち、最も大きな割合を占めるのが陶器だ。2024年度は全体の36.9%。沖縄の言葉で焼物を意味する「やちむん」は県外にもファンが多く、沖縄県の計画素案は、コロナ禍後に「やちむんブーム」と言える状況が続き、需要に生産が追いついていないと記している。その中心にあるのが、那覇市の壺屋焼である。

3行でわかる

  1. 壺屋焼は、1682年に琉球王府が各地の窯場を那覇の壺屋に統合したことに始まり、約300年以上沖縄を代表する焼物であり続けている。
  2. 沖縄の陶器は、釉薬をかけない「荒焼」と、釉薬をかけた「上焼」に大別される。
  3. コロナ禍後の需要の高まりで生産額は伸びているが、県産陶土や燃料の薪の確保が年々難しくなっている。

01この工芸は何か(技術の正体)

壺屋焼は、那覇市壺屋を中心に作られる焼物で、大きな甕などの「荒焼」と、釉薬をかけた食器などの「上焼」に分かれる。

沖縄の陶器は、荒焼と上焼に大別される。荒焼は南蛮焼とも呼ばれ、釉薬をかけないかマンガン釉をかけた製品で、酒甕や味噌甕など大きなものが多い。上焼は釉薬をかけた製品で、食器や酒器など比較的小さなものが多く、今日の陶器の主流になっている[1]。

日本本土や朝鮮、中国、東南アジアなど様々な地域の影響を受け、抱瓶(だちびん)、嘉瓶(ゆしびん)、カラカラなど独特の形と呼び名を持つ[1]。

02産地とその歴史

1682年、琉球王府が各地の窯場を壺屋に統合した。以来、壺屋焼は沖縄の焼物の中心であり続けてきた。

尚永王(在位1573〜1588年)の時代に瓦奉行所が置かれ、陶器の生産が本格化した。1682年には、王府によって知花窯、湧田窯など地方の窯場と首里の宝口窯が現在の壺屋に統合され、陶業の振興が図られた[1]。

明治末ごろには不景気や他県産の安い磁器の流入で日用品としての地位が脅かされ、沖縄戦を経て、戦後はいち早く壺屋で復興が始まった[1]。壺屋陶器事業協同組合は1975年度に設立され、その後、伝統的工芸品「壺屋焼」の指定を受けた[1]。

03技術を、生活の言葉で

沖縄の陶器の生産額は長く年10億円前後で推移し、近年は嗜好品や観光土産品としての性格が強まっている。

沖縄県「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」[1]

沖縄県の陶器生産額は、1980年代前半には約12億円あったが、2000年ごろからは10億円ほどで推移している。1人当たりの年間生産額は270万円前後で、2019年度の従事者数は380人ほど。本土から移住して新たに工房を構える事業者が多いのも近年の特徴とされる。

補足: 壺屋焼の工房がすべて那覇の壺屋にあるわけではない。環境問題などで壺屋での登り窯の使用が難しくなり、うるま市や大宜味村などに窯場を移す工房が増えている。

04後継者問題とテクノロジーとの交差点

需要は伸びているが、原材料と担い手の確保が追いつかない。組合は製土工場や商標などで産地の基盤を支えてきた。

1

製土工場と原材料の確保

1981年度に製土工場が建設され、土づくりの省力化とコストダウンが図られた。しかし、環境問題などで県産の陶土の確保は年々厳しくなり、代替品は質が悪いとされる。燃料の薪の確保も難しくなっている。

2

ブームと生産体制

第10次振興計画の素案によると、コロナ禍後のやちむんブームで生産額は大きく伸びているが、需要に生産が追いついておらず、新規の販路開拓には取り組めていない。組合加入率が低く、講師や作業場の確保が難しいため、後継者育成事業も実施できていない。

需要があっても、土と薪と人がなければ焼物は作れない。壺屋焼は、人気の高まりそのものが、原材料と担い手の確保という課題を浮かび上がらせている。

05関連する工芸

同じ陶磁器の産地として、生産額の減少に向き合う信楽焼や有田焼と比べると、需要の伸びに悩む壺屋焼の特殊さが見えてくる。

06よくある質問

壺屋焼の始まりはいつですか

1682年に琉球王府が、知花窯、湧田窯などの窯場と首里の宝口窯を現在の那覇市壺屋に統合したことが始まりとされます。

荒焼と上焼の違いは何ですか

荒焼は釉薬をかけないかマンガン釉をかけた大きな甕などで、上焼は釉薬をかけた食器や酒器などです。今日の主流は上焼です。

やちむんとは何ですか

沖縄の言葉で焼物のことです。沖縄県の計画素案では、陶器全般が「やちむん」の呼び名で親しまれ、県外のファンも多いとされています。

出典

  1. 沖縄県 商工労働部ものづくり振興課. 「令和4年度 工芸産業振興施策の概要」. https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/630/r4_zentaiban.pdf
  2. 沖縄県. 「第10次沖縄県伝統工芸産業振興計画(素案)」. https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/040/770/soann.pdf
  3. 沖縄県. 「第8次沖縄県伝統工芸産業振興計画」(2017年3月). https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/629/daihatijishinkei.pdf