木工・金工

大館曲げわっぱはなぜ素材転換を迫られたのか、天然秋田杉の供給終了と「曲げやすい木」を見分ける技術

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米代川沿いにある秋田杉の人工林(秋田県能代市)
Photo: 掬茶 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開資料をAIが調べて整理しました(特定の工房・商品の宣伝ではありません。出典は末尾)。

曲げわっぱの材料として使われてきた天然秋田杉は、国有林からの供給が2012年度で終わった。代わりに使う人工の杉は、板を曲げる工程で折れる割合が高い。秋田県大館市の産地は、木を伐る前に「曲げやすいかどうか」を見分ける方法を、大学や国と一緒に探り始めた。

3行でわかる

  1. 大館曲げわっぱは、杉を薄い板にして熱湯で柔らかくし、曲げて山桜の皮で留める木工品で、国内の曲物で唯一の伝統的工芸品とされる。
  2. 材料の天然秋田杉は、国有林からの供給が2012年度で終了した。人工杉は曲げの工程で折れる割合が高い。
  3. 組合・秋田県立大学・大館市・森林管理署は2015年に協定を結び、立木の繊維の傾きを測って曲げやすい木を選ぶ調査を進めている。

01この工芸は何か(技術の正体)

大館曲げわっぱは、杉の薄い板を熱湯で柔らかくして丸く曲げ、山桜の皮で縫い留めて作る、秋田県大館市の木の器である。

曲げわっぱの「わっぱ」は、輪の形をしたものを指す。杉などの針葉樹を薄い板に削り、曲げて作る容器を「曲げもの」と呼び、同様の木工は国内外に存在するが、大館曲げわっぱは国内で唯一の伝統的工芸品に指定された曲げものとされる[3]。

工程の一例では、板を一晩水につけて80℃に温め、柔らかくなったところで道具に巻いて丸め、木ばさみで留めて7〜10日乾かす。継ぎ目は山桜の木の皮で留める[3]。

02産地とその歴史

曲げわっぱは古くから山仕事や漁の弁当箱として使われてきた。大館では、雪に耐えてゆっくり育った秋田杉が材料として使われてきた。

かつて木こりや漁師は、身と蓋の両方にご飯を詰めて一升もの飯が入る「一升わっぱ」と呼ばれる大きな弁当箱を使っていた[3]。

雪に耐えてゆっくり育った杉は年輪の幅が詰まり、曲げものに向くとされる[3]。大館の曲げわっぱには、主にこうした天然秋田杉が使われてきた[1]。

03技術を、生活の言葉で

天然秋田杉の国有林からの供給は2012年度で終わった。代わりの人工杉は、曲げの工程で折れる割合が高い。

林野庁 東北森林管理局の報告(2016年度発表)[1]

曲げわっぱの原材料には主に天然秋田杉が使われてきたが、2012年度をもって国有林からの供給が終了し、現在は高齢級の人工杉への素材転換が進められている。しかし人工杉は天然杉に比べ、「曲げ」の工程で折れる割合が高いことがわかった。生産者へのアンケートでは、備蓄していた天然杉を使う生産者が半数を占める一方、今後は適材木を使う意思のある生産者が多く、その需要量は丸太換算で年間約300立方メートルと見積もられた。

補足: 人工杉なら何でも代わりになるわけではない。曲げやすさは木ごとに異なり、選別が必要になる。

04後継者問題とテクノロジーとの交差点

産地と大学、市、国は協定を結び、立ったままの杉の繊維の傾きを測って、曲げやすい木を見分ける技術の確立を目指している。

1

立木のまま曲げやすさを測る

杉は細胞壁をつくる繊維の傾きが大きいものほど曲げやすい。応力波の伝わる速さを測る機器を使うと繊維の傾きを推定でき、伐る前の立木の状態で曲げやすいかどうかを判定できる。

2

産学官の協定と調査結果

2015年9月、大館曲げわっぱ協同組合、秋田県立大学木材高度加工研究所、大館市、森林管理署の4者が協定を結んだ。2015年度の調査では、調べた3つの区画で約3〜5割の杉が曲げわっぱに適した木と判定された。

素材が変われば、伝統の技もそのままでは通用しない。大館の取り組みは、計測技術を使って「材料の目利き」を補い、伝統工芸の素材を将来にわたって確保しようとする試みといえる。

05関連する工芸

同じ木工の産地として、釘を使わない技で知られる江戸指物と比べると、木の工芸が抱える課題の違いが見えてくる。

06よくある質問

大館曲げわっぱの材料は何ですか

主に天然秋田杉が使われてきましたが、国有林からの供給が2012年度で終了し、現在は樹齢の高い人工杉への転換が進められています。

人工杉では何が問題なのですか

林野庁の報告によると、人工杉は天然杉に比べて曲げの工程で折れる割合が高いことがわかっています。

曲げやすい木はどう見分けるのですか

応力波の伝わる速さを測る機器で繊維の傾きを推定し、立木のまま曲げやすいかどうかを判定する方法が調べられています。

出典

  1. 林野庁 東北森林管理局 米代東部森林管理署. 「“大館曲げわっぱ協定”に基づく適材木の供給に向けた取組」(平成28年度 森林・林業技術交流発表会). https://www.rinya.maff.go.jp/j/gyoumu/gijutu/kenkyu_happyo/attach/pdf/H28_happyo-36.pdf
  2. FRaU(講談社). 「上質で長く使える!こだわりが詰まった秋田大館の『曲げわっぱ』」(2019年11月7日). https://gendai.media/articles/-/67995
  3. 国際交流サービス協会 IHCSA Café. 「大館曲げわっぱ 木の国日本の受け継がれる技と暮らしの美」. https://ihcsacafe.ihcsa.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/bentwood_j.pdf